7.29.2011

米国債が格下げされてもMBSは安泰(by BarCap)

Fannie, Freddie investors likely steady, even in default
(Housing Wire, 7/29/11)

以前、エージェンシー債を相当抱えている銀行セクターは、米国債の格付けが下がると、自己資本にプレッシャーがかかるのでは、と筆者は書いたのだが、Barclay Capitalのアナリストはそのシナリオは心配しなくてもよかろう、というオピニオンらしい。

過去3四半期で、銀行セクターはMBSの需要サイドとしては最大で、$100bnの積みまし。BarCapは銀行の需要は引き続き強いと見る。以下グラフは記事中で紹介された、MBS保有者別内訳。銀行が政府機関よりも多い。

財務省はオーソリティ失効前日に、短期米国債$50bnを発行する

Treasury's $50 Billion Bill Auctions to Go Ahead Monday
(CNBC, 7/29/11)

3度目のベーナー修正案が218-210で、ようやく下院で可決。次は上院へ。ヤレヤレ・・・。

In the meantime、財務省は月曜日(8月1日)に、$50bnの米国債(3ヶ月と6ヶ月のTreasury Bills )を発行予定。来週償還を迎える米国債の額$87bn。ロールオーバー分なので、月曜日に発行しても問題なし。

財務省が新発USTを発行するオーソリティ(権限)は8月2日一杯(正確には8月3日真夜中12時02分)に失効する。その前日に出しておかないと。しかし、短期のイールドが上がってるときに、3ヶ月と6ヶ月を発行するとはね・・・(自転車操業の様相、ますます濃厚となっているわけだが・・・。笑いたいが、笑えない。)

ボラが高まることが予想される来週、プライマリー・ディーラーと連銀とで、作戦会議がもたれている。以下参考。

Morgan Stanley's Jim Caron said three alternative options for auctions were discussed at the meeting at the Fed. He said they discussed delaying the August refunding and issuing a short-dated cash management bill that could be rolled over, as needed.

They also discussed rescheduling auctions until after the debt ceiling is increased, or holding auctions of much smaller sizes, but dealers said there could be liquidity problems. They also could announce a conditonal refunding, using when issued trading, which dealers dismissed because of the timing uncertainty.

グルーポン、フォースクエアのパートナーになる

Foursquare and Groupon Hook Up for Real-Time Deals
(Mashables, 7/29/11)

グルーポンは、Foursquareの「daily deals & specials (今日のお買い得スペシャル)」の、6番目のパートナーになったという。Foursquareでチェックインすると、そのお店の「今日のお買い得グルーポン」がアンロックされる仕組みで、両者で収益を分け合うそう。(どういう割合で分け合うかは公表されていない。)

米政府よりアップル社のほうがキャッシュ持ってる

U.S. balance now less than Apple cash
(Financial Post)

いまこれを書いてる瞬間も、債務上限問題の両党ステールメイトは続いている。昨日の段階で、米政府のポケットに残っているキャッシュ$73.768bn。一方、アップル社の現金残高は6月末の段階で$75.876bn。(6月末時点だから、アップルのキャッシュポジションは、昨日の時点ではさらに潤沢になっているのでは・・・という気もしないでもないのであるが。苦笑)

7.28.2011

高齢者の依存度国際比較

Dependency Ratios Around The World
(Business Insider, 7/21/11)

グラフは、15~64歳の労働者100人に対する65歳以上の人の数。世界平均は11.6人。G4平均27.7人。


トヨタのピックアップトラックTacoma、新モデル

Toyota Tacoma to Get New Look and Interior in October
(WSJ, 7/28/11)

トヨタのコンパクト・ピックアップトラックTacoma、10月に新デザインでお目見え。GMやフォードがマージン高いフルサイズによりフォーカスをシフトしたので、米国ピックアップ市場では、この型が非常にポピュラー。若い層にアピールするので、トヨタとしても重要な車種。

(我が家のGM製のピックアップが、そろそろイカレてきているので、次はタコマにしようかと真面目に考えている、一消費者は私です。)

7.27.2011

米の郵便局4000箇所近く閉鎖の方向

Nearly 4,000 Post Offices Might Close
(NYT, 7/27/11)

全米32000ある郵便局(USPS)のうち3600以上が閉鎖の方向。USPSの今年度の損失$8bn, 財務省から借りれることになっているローン$15bnも使い切った。郵便のボリュームは過去4年で20%減、約20万人のポジションが過去10年で削減された。

(視点をちょっと変えると、米国のこの広い国土に32000なら、日本に25000近くもあったというのが、すごいですよね。)

米国債の最悪シナリオ下での金融機関への影響

Banks Bracing for U.S. Downgrade See No Panic Yet
(Bloomberg, 7/27/11)


  • 銀行はデフォルトよりも格下げの可能性により注目して、万一の事態に備えて準備をしており、主要資金市場は平静を保っている。
  • レポ市場でコラテラルに使われてる米国債はおよそ4兆ドル、レポ市場でのボラが上がるとクレジットが縮小するとJPM。
  • ING Directの買収で資金調達の必要があるCapital Oneは、再調達リスクを減らすために保有証券を一部売却。
  • JPMの金利ストラテジーのグローバルヘッドTerry Beltonの言:「格下げによる調達コスト上昇は中期的に60-70bps、これにより米国政府の借り入れコストは年間$100bn上昇、短期イールドは5-10bps上昇。」(下に原文)
  • 米金融機関の米国債とエージェンシー債の保有総額は7月13日付けで$1.67tn、2008年の$1.1tnから増加。25bpsの金利上昇で銀行の自己資本は悪影響を受けると見るエグゼクティブも。
  • Citiの銀行アナリストは、米国債の格下げがシングルAレベルに落ちれば話は別だが、シングルA転落のシナリオは可能性が極めて低く、The Bank Holding Company Actでは米国債とエージェンシー債の保有は制限無しと定めており、同証券のリスクウェイトは格付けに左右されるものではないので、(自己資本の懸念から)強制的に売りに出る銀行は少ない、という意見。


筆者もたとえ格下げになっても、1段階下げのAA+(Aa1)におさまると思う。その場合の銀行へのインパクトはマネージ可能だとも思う。

米国債格下げのトレーディングフロントへの影響

DEBT CEILING: Some Quick Thoughts From Goldman's Head Of US Treasury Trading
(Business Insider, 7/27/11)

ゴールドマンの米国債トレードヘッド Beth Hammockのメモから。具体的なbpsの数値はともかくとして、期待される動きとしては、きわめて全うな内容。

「米国債がAAにおちると、GSEは即時の格下げ圧力、米国債には徐々に海外の持分減少でドル安方向に引導、米企業および米銀への格付けネガティブ影響。格下げ直後は、短期エンドにリスクオフのトレードで30bpsラリー、5年をピボタルポイントにして、長期エンドは20-30bpsのセルオフ。エージェンシー債はワイドニング圧力、だが買いは入ると見込まれ。最終的には、米国債のイールド全体が25-50bpsの持ち上げ、長期アンダーパフォーム。エージェンシー債およびMBSは5-20bpsワイドニング。」

(先日、MHJ本館のほうに、BACのCFOが米国債格下げに「備えて」いるという話を書きましたが、BACの描くシナリオもこれと似たようなシナリオでトレード損益と自己資本のシミュレーションやってるのでは、と想像します。)

米国債のCDSカーブが初めて長短逆転

Live Blog: The U.S. Debt Battle
(WSJ, 7/27/11)

ちまたでは上限問題で米国債がデフォルトすると上へ下への大騒ぎだが、肝心の米国債市場はずっと静観の態度。ただし、さすがにここに来て、8月4日償還予定の米国債が7月28日より4bp動いて若干安め。米国債CDSの方は、1年CDSが5年CDSより20bps高くなっていて、初めてインバートしている。流動性の低い市場だが、リスクを「少しばかり」織り込んでいる、とメリルリンチ。("small probability”という表現に注意。欧州のようにパニックしているわけではない。)

4:43am BofA-ML: Default Risk Starting to be Priced in

7.26.2011

米国の債務はどうやってここまで大きく膨れたか

How the Deficit Got This Big
(NYT, 7/23/11)

「反政府コンサバが何を言おうと、教育関係や海外支援などの軍事費以外の歳出削減の部分は、財政赤字の主因ではない。事実それらは予算全体の15%にしかならず、この10年間、予算に占める割合としては変化はなかった。そこの部分を削減しても財政赤字の穴を埋めることはできない。」

この記事の中に出ている2つのグラフが秀逸。This article is a MUST read.


IMFは近く資金を増やす必要ありかも、とラガルド

Lagarde Says IMF May Need More Funds
(WSJ-Europe, 7/27/11)

外部支援を必要とする国が従来以上に多いため、IMFはもっとおカネが必要になる、と新IMFトップのラガルド。国内問題でこれだけもめてる米国が、欧州問題のためにカネ必要だというIMFにすんなり首を縦に振るだろうか・・・。

ムスリムじゃないけどムスリムっぽい (動画ジョーク)

I'd say, in terms of cynicism, this is definitely one of the best by Colbert! ワロタ

ISDAによると、米国債がデフォルトしたらCDS支払いまで猶予は3日

U.S. has 3 days grace before CDS default trigger: ISDA
(Reuters, 7/26/11)

CDSの支払いがトリガーされるのに猶予は3日とISDA。しかし、ギリシャの債務再編は信用事由にはならないとしたISDAが、米国のテクニカル・デフォルトは信用事由になると?それは、いったい、どういう基準で?(政治的な状況にらんで、ケース・バイ・ケースで決めてんのか?ww)

共和党を激しく非難するNYTの社説

上限問題をめぐる共和党の態度を激しく批判したNYタイムズの社説。

The Republican Wreckage
(NYT, 7/26/11)

「歩み寄ろうという大統領の訴えも退けた共和党は、国益という視点を失った。米国経済を人質にとり、ここ何十年の間に最大級といえる歳出削減を迫ることに成功した。目先の支払いの問題を将来の歳出の問題にすりかえて、民主側から幾分かの譲歩を得たら得たで、またそこから離れてゆく。この無謀なゲームは国家をデフォルトの淵に追い込んでいる。政府の就業プログラムがとめられて金利があがれば、ふたたび職に尽きたいという何百万という失業者の願いは絶たれる。米国政府は世界中の笑われ者だ。」

わたしは、このNYTの見解に、全面的に同意しますね。

7.25.2011

中国の脱線事故はインフラ投資の遅延に繋がる?

(WJS, 7/25/11)


[Quote] "The market has been expecting investment growth to recover in the second half, but the accident may prompt the government to overhaul infrastructure projects and slow the pace of investment," said Xu Wei, an analyst with Sinolink Securities.

「市場は下半期に投資額の成長回復を期待していたが、この事故により政府はインフラ関連のプロジェクトの見直しに入るかもしれず、それが投資ペースを遅らせる可能性がある」by 中国のシノリンク証券のアナリストの言