3.31.2011

米国の原子力の未来は?(ラジオ番組) 

The Future Of Nuclear Energy In The U.S.
(National Public Radio, 3/31/11)

  • 米公共ラジオ、番組Fresh Air、トピックは「米国における原子力の未来」
  • NYタイムズのエネルギー分野専門の記者Matthew Waldをゲストに迎え、米国の実情を語る38分。(番組全編は記事中のリンクで視聴可能)
  • 米国には原子炉104基、電気消費量の2割を原子力でまかなっているが、原子燃料と廃棄物の問題はいまだに米国内で明確なポリシーや解決策を作れずにいる、とウォルド氏。
(以下引用、太字は筆者)

"If we're lucky, we're heading for a situation like Three Mile Island, in which you have a very long cleanup period in which you can remove the damaged fuel from the spent fuel pools and then, essentially, you got a reactor that can be decommissioned in the normal way," he says. "If we're not lucky, you end up in a Chernobyl-type situation where you can't get the damaged material out and you build some type of sarcophagus and then you sit there and you watch it for the next few centuries."

求む!日本の原発で働きたいアメリカ人!

Help wanted: Self-starter to fix reactor, travel required
U.S. recruiter seeks nuclear workers for assignment in Japan containing the catastrophe
(MSNBC, 3/31/11)

  • 米の原子力業界専門リクルーターが、日本の福島原発の現場で働けるひとの採用を始めている。すでに応募者はいて、複数名を採用、次の日曜日にも日本に向け旅立つという。当面の採用予定は10名以下の規模。今後の展開次第で採用も変化、とリクルーター。
  • このリクルーターに人探しを依頼したのは、GE-日立のJVの下請け会社。
  • 採用条件は、現場経験のあるシニアレベルのエンジニアおよびテクニシャン、パスポートを持ってること、家族の承諾が得られること、放射能ゾーンで仕事する意思があること。(給与は当然、普通の給料より高い。)期間はわからず。もしかすると何ヶ月も行ってることになるかも。現地で必要な作業着やギアはすべて支給される。
  • 記事によると、高度の放射能を浴びるエリアに侵入して作業するワーカーのことを、業界用語で「Jumper」と呼ぶのだそう。今このリクルーターが集めているのは、Jumperの仕事ではない、という話。

米エネルギー政策ポイント

Fact Sheet on U.S. Energy Security
(The White House, 3/30/11)

  • ホワイトハウスが出したファクト・シート。原油依存の現状を改善するため、何をするかの簡単なまとめ。原油輸入を減らし、クリーン・エネルギーによる代替を増やすという骨子。

オバマのエネルギー政策動画

Obama Sets Ambitious Goal to Reduce Oil Imports
(Voice of America on YouTube, 3/30/11)

30日、ジョージタウン大学で行われたオバマによるエネルギー政策の演説について、VoAのニュース・クリップ(2~3分)。




45分間の演説ビデオは、ホワイトハウスのサイトから、こちら。
トランスクリプト全文はこちらへ。




<<関連過去記事>>
米政府、メキシコ湾の深海油田採掘の許可を出し始める (MHJ別館, 3/27/11)

中国、軍事白書を発表。(ビビりぎみの米は・・・)

China Lays Out Vision for Its Military
(New York Times, 3/31/11)


  • 中国、1998年から隔年で発行している軍事白書を発表。中国軍の現代化の進捗を誇るとともに、軍事的な覇権主義に利用されるのではという海外政府らの懸念を和らげるのに苦慮した内容。
    • (原文:The military’s vision was laid out in a national defense white paper that has been published every two years since 1998. The paper tries to walk a line between trumpeting the modernization efforts of the Chinese military and assuaging fears by foreign governments and observers that the fast-growing People’s Liberation Army will be used for expansionist or hegemonic purposes.
  • 白書は中国の軍事拡大はあくまでも自衛目的であるとしているが、白書の中で中国は、「アジア・パシフィック地域においては、軍事大国による戦略的投資が活発化しており、米国は地域での軍事同盟の強化や地域保全問題に関与を強めている」と指摘。
    • (原文:The military’s vision was laid out in a national defense white paper that has been published every two years since 1998. The paper tries to walk a line between trumpeting the modernization efforts of the Chinese military and assuaging fears by foreign governments and observers that the fast-growing People’s Liberation Army will be used for expansionist or hegemonic purposes.
  • 2010年にオバマ政権が台湾への武器輸出を発表して以来凍結状態になってしまった米中両国の軍事関係をスムーズにするためにロバート・ゲイツは今年一月も中国を訪問。中国側も5月に軍の上層部が米国訪問する予定。
  • 中国が先に発表した2011年の軍事予算は6011元(=US$92bn)で、前年比12.7%増。近年の年率7.5%増を上回る。

3.24.2011

「NYシティの人口はもっといるはず」by NY市長

STATEMENTS OF MAYOR BLOOMBERG
(New York City Mayor's Office, 3/24/11)


  • 国勢調査の結果、ニューヨークシティの5区の人口は817万人との結果。去年3月に試算されてた段階では840万人という数字だった。NY市長ブルームバーグは、国勢調査で把握されなかった人数(特に新たに流入した移民)はクイーンズ区などで相当数いるはずで、今回国勢調査から漏れた人数は20万人は下らないだろうという市の見解。
  • 国勢調査に従えば、10年前から数えると、シティには16万人ほど新しい市民が増えたとのこと。米国の都市の中には人口が減少している都市も多くあり、ニューヨークの人口増加は喜ばしい。
  • 過去10年を振り返ると、ニューヨークは911同時多発テロを経験し、二度の大きな景気退行もくぐり抜けたが、シティの犯罪率は減少し、市民生活のクオリティを高めるための投資を続け、街は以前にまして住みやすい良い街になった、と市長の言。
  • (筆者の感想:市長の言うとおり、ニューヨークは911の後、以前に増して華やかで強くて良い街になったと私も思う。)
(以下、市長のスピーチから引用)

3.23.2011

米政府、メキシコ湾の深海油田採掘の許可を出し始める

U.S. to Issue More Gulf Drilling Permits
(Wall Street Journal, 3/22/11)


  • 昨年のメキシコ湾原油流出事件後初めて、米政府はエクソン社に深海油田採掘の許可を与え始めたとのこと。そのひとつ、エクソンの新プロジェクトは海底6941フィート。(通常1000フィート以上が「深海」というくくりとなるそう。)
  • BPによるルイジアナ沖の「ディープ・ウォーター・ホライゾン」流出事故はどの石油会社も肝に銘じているはずだが、あの事故は非常に稀なケースで頻繁に起こるものではない、深海採掘には何も問題なしといったリラックスしすぎな雰囲気をかもし出している会社も、なきにしもあらず。
  • 深海採掘のみならず、もっと浅い沖のケースでも、今年にはいってから数度のリークの問題が生じたアパッチのようなケースもある。
(以下記事から引用)

3.21.2011

iPhoneがT-Mobileを殺した

How the iPhone Led to the Sale of T-Mobile USA
(New York Times, 3/21/11)


  • ドイツテレコムが米子会社のT-Mobile USAをAT&Tに$39bilで売却というニュース。
  • AT&Tが独占的にiPhoneを販売するようになってからT-Mobileの顧客数は減少。2006年には85%を閉めていた契約顧客が2010年には78.3%に減少。2010年だけで39万の顧客をライバルに奪われた。
(以下NYTより引用)

“The iPhone effect cannot be underestimated in this decision,” said Theo Kitz, an analyst at Merck Finck, a private bank in Munich. “Without being able to sell the iPhone, T-Mobile was in an unsustainable position and T-Mobile USA became a problem child.”

今回の事業売却の決定にあたり、iPhone効果は無視できないと某アナリストは述べる。「iPhoneを売ることができなかったT-Mobileは、将来の業界内の位置が不安定になり、(ドイツテレコムにとって)T-Mobile USAは問題児となった。」

米国から日本のための募金が少ない理由

A Charitable Rush, With Little Direction
(New York Times, 3/15/11)


米国人からの募金が少ない理由:「先進国」「犠牲者少数」というイメージが障害に
(日経ビジネス, 3/20/11)


  • 今回の大震災にあたり、米国からのNPO経由の寄付金の額について。日経ビジネスの記事では、カトリーナやハイチよりも集まった金額が少ないのは、「日本の被害が小さいという勘違い」があるため、という意見。
  • これと関連し、15日付のニューヨークタイムズの記事に、興味深い記述2点あり。
  • 1点目は、日本赤十字が3月15日付けの情報ブリテン(英語)で、「外部からの支援は必要ないという結論に達した」と自ら述べている点。
  • 2点目は、日本政府は海外政府とのやり取りに極力絞っており、米国の非政府系NPOとは直接やり取りしておらず、米NPOが義捐金を集めても、それを日本の人々のため、具体的にどう使われるべきかの方向がよく見えていない、という点。
  • (個人的には、米のTVであれだけの悲劇を連日連夜見せられて、よほど感覚ニブイ人は別として、「日本の被害が小さい」と感じる米国人が多いとは、とうてい思えませんけどね・・・。一番の理由は、日本側からのオフィシャルなアピールや広報がないということ、そして、日本で受け入れ側になるNPOの資金モビライゼーション能力に限りがあること、ではないかという気が。)

昨年夏に採掘始まったリビア沖のBP深海油田は??

BP set to begin oil drilling off Libya
(BBC News, 7/24/10)


  • 昨年7月24日付けで、古い記事。
  • この週末、英仏米の多国籍軍空爆がリビアで始まったが、去年採掘が始まったこの油田はどうなっているのだろうか。ふと気になったので、備忘録としてポストしておく。

米財務省、エージェンシー債$142Bilを向こう一年で売却予定

Treasury to Unload Mortgage-Backed Securities
(Wall Street Journal, 3/21/11)


  • 財務省が金融危機時に購入したエージェンシー債$142bilを、市場の状況を睨みながら毎月$10bilづつ市場売却、1年後には完売したいと月曜日に財務省が発表。(これは、連銀のMBS購入プログラムとは異なり、財務省が08年10月から09年12月の期間中に直接バイヤーになった分であることに注意。)
  • 財務省によると、納税者に$15~$20bnのプロフィットが出る見込み。
  • 今回の売却が米国の債務上限にかかる圧力を緩和するインパクトはほとんどないが、数日間は上限到達を遅らせる効果はある、と。
  • (市場関係者の中には、これが先鞭となって、さらなるLiquidationが来るのではという見方もあるが・・・)

3.11.2011

連銀資金循環統計:モーゲージ減で家計部門デレバレッジ続く

Flow of Funds Accounts of the United States: 4Q2010
(Federal Reserve, 3/10/11)


  • 個人のデレバレッジ引き続き進行中。主因は住宅マイナス1・25%、消費者信用はプラス2%、全体でマイナス0.5%。減少幅は減ってきてるが、11四半期ぶっ続けのマイナス。家計の純資産は$56.8trillionで、前四半期より$2.1trillion増。
  • 企業部門はプラス3.5%。一方、地方自治体はプラス8%、連邦レベルだとプラス14.5%と、政府関係の債務の増加目立つ。連邦政府の借金は2010年通年では前年比で20%+増えた。
  • 非金融債務残高$36.3trillion、うち家計部門$13.4trillion、非金融企業部門$11.1trillion、政府機関部門$11.9trillion.

3.10.2011

リビアのカダフィ、戦いを続けるための現金を相当蓄えてるらしい

Hoard of Cash Lets Qaddafi Extend Fight Against Rebels
(New York Times, 3/9/11)


  • 内戦が長期化する可能性濃厚なリビア。カダフィがトリポリに膨大な額のキャッシュを蓄えているらしいというNYTの記事。
  • 米国はすでにリビアの資産$32bnを凍結、国連と欧州側も別途資産凍結の動きに出ているが、それらは国際銀行とリビア国外に限定された資産の話。西側が資産凍結の動きに出る前から、おそらくリビア紛争が開始される直前にも、カダフィは自己の資産を守るため、西側の手が届かない経路(彼がコントロールするリビア中央銀行や地元銀行)を用いて、自分以外の者の名義にして現金を溜め込んだのだろうと関係者らは見ている。

(以下NYTから引用)

ガレオンのインサイダー取引裁判、始まる

Lawyers Make First Pitches to Jurors
(Wall Street Journal, 3/10/11)

What Gets a Potential Juror Kicked Off the Raj Rajaratnam Trial?
(New York Magazine, 3/9/11)


  • インサイダー取引容疑で逮捕されたガレオン・グループ(Galleon Group)のラージ・ラジャラトナム(Raj Rajaratnam)の裁判がニューヨークの連邦裁判所で開始。選ばれた陪審員は女性7人、男性5人、誰一人として、ロイド・ブランクファイン(GSのCEO)の名を聞いたことがないという。被告のラジャラトナムの方は、9名の辣腕弁護士団を組んで対抗、弁護士費用は$30ミリオンは下らないだろうとの下馬推測。
  • WSJによると、満員の法廷で、検察側・弁護側それぞれが陪審員向け主張第一声を展開、相当異なる弁論スタイルでそれぞれが攻めを開始したとのこと。検察側は機関投資家による投資行動などの話にまったく慣れていない陪審員を、過剰な証拠で圧倒してしまわないように気をつけながら、分かりやすい言葉で内容を単純化してたたみかけた。一方、弁護側は数十枚のプレゼン資料を用意して、オーディオビジュアルを駆使して迫った。裁判は2~3ヶ月続く見込み。

(以下New York Magazineより抜粋)

3.09.2011

ウィスコンシン州共和、民主抜きで組合団体交渉権剥奪に成功

Wis. GOP strips public workers' bargaining rights
(AP, 3/9/11)


  • 新州知事(共和)が提案した公務員の年金負担増を含む予算削減案と公務員組合の団体交渉権剥奪案をめぐり、ウィスコンシン州では、州を挙げて大規模な公務員のストライキが起こり、3週間前から民主議員が州外に脱出して議会投票を回避し遅らせている。
  • 共和と民主の対決が深まる同州では、共和側が9日、民主不在のまま団体交渉権に関わる部分「のみ」について投票、その案を通過させた、とAP。
  • APによると、州予算を使う場合は決議で定足数が必要だが、団体交渉権の部分のみであれば、「お金は使わない」という理由でそのルールを当て嵌める必要なしという(共和側の)法解釈により、予算案の部分と交渉権の部分を分割し、民主無視で後者のみ決議。民主側はこれに対し激しく反発している。

<関連記事> 
合言葉はエジプトの次はウィスコンシン
(Murrau Hill Journal, 2/17/11)

3.02.2011

「リビアは内戦に突入する危険高い」とヒラリー

US says Libya in danger of collapsing into civil war
(The Telegraph, 3/2/11)

米国、NATOと手を組み、ペンタゴンもフル稼働させて、経済・軍事の両面からリビア締め上げへ。

(以下記事より)

"In the years ahead, Libya could become a peaceful democracy, or it could face protracted civil war, or it could descend into chaos. The stakes are high." (by Hillary Clinton, US Secretary of State)

「向こう何年か、リビアは平和的な民主主義になる可能性もあるし、あるいは内戦が長期化するかもしれないし、カオスへと墜ちてゆくかもしれない。危険度は高い。」(米国務長官ヒラリー・クリントン)

"we are going to squeeze him (Col Gaddafi) economically in conjunction with the rest of the economic community. We'll squeeze him militalily." (by Susan Rice, US ambassador to the United Nations)

「我々は他国と強調してカダフィに経済的圧力をかけるつもりだ。軍事的にも圧力をかける。」(米国連大使スーザン・ライス)

マーク・ファーバーの2月23日付け長いインタビュー(音声のみ)

Marc Faber Interview 23-Feb-2011
(YouTube 音声のみ40分)




ポイント:
- ドイツはPIIGS救済には難色。
- 米財政がバランスすることは、金輪際なし。
- たとえコモディティ価格が下落しても、ゴールドに関しては上昇を予想、強気。
- CPIを2%に恣意的に低く抑えて見せていても、実質的なインフレは8%超、長期で債券価値を大きく毀損する。

MBIA、4Q10黒字、CDO関連の処理が進捗

MBIA Settles $19 Billion in CDO and Mortgage-Debt Guarantees With 5 Firms
(Bloomberg, 3/1/11)

Ambacと並びサブプライム全盛期にCDOへのギャランティを提供していた業界最大手MBIAが4Q10黒字決算。ボトムの数字を押し上げたのは、デリバティブス契約の時価会計上の税前ペーパーゲイン$1.1Bnが主因。同社は4Q10中に5社総額$15.7Bn相当のギャランティ債務の契約停止、これによりB/S上のリスク軽減が顕著に。保証契約そのものの軽減は1Q11中も進捗している、とのこと。(そして、もうひとつ、「QE2のおかげでクレジット市場のボラが下がっているのも同社のポートのフェアバリュー改善に貢献した」というCEOの言葉もついでにメモ。)MBIAは2007年以来$9.1Bnの保証債務支払いに応じてきている。