7.27.2011

米の郵便局4000箇所近く閉鎖の方向

Nearly 4,000 Post Offices Might Close
(NYT, 7/27/11)

全米32000ある郵便局(USPS)のうち3600以上が閉鎖の方向。USPSの今年度の損失$8bn, 財務省から借りれることになっているローン$15bnも使い切った。郵便のボリュームは過去4年で20%減、約20万人のポジションが過去10年で削減された。

(視点をちょっと変えると、米国のこの広い国土に32000なら、日本に25000近くもあったというのが、すごいですよね。)

米国債の最悪シナリオ下での金融機関への影響

Banks Bracing for U.S. Downgrade See No Panic Yet
(Bloomberg, 7/27/11)


  • 銀行はデフォルトよりも格下げの可能性により注目して、万一の事態に備えて準備をしており、主要資金市場は平静を保っている。
  • レポ市場でコラテラルに使われてる米国債はおよそ4兆ドル、レポ市場でのボラが上がるとクレジットが縮小するとJPM。
  • ING Directの買収で資金調達の必要があるCapital Oneは、再調達リスクを減らすために保有証券を一部売却。
  • JPMの金利ストラテジーのグローバルヘッドTerry Beltonの言:「格下げによる調達コスト上昇は中期的に60-70bps、これにより米国政府の借り入れコストは年間$100bn上昇、短期イールドは5-10bps上昇。」(下に原文)
  • 米金融機関の米国債とエージェンシー債の保有総額は7月13日付けで$1.67tn、2008年の$1.1tnから増加。25bpsの金利上昇で銀行の自己資本は悪影響を受けると見るエグゼクティブも。
  • Citiの銀行アナリストは、米国債の格下げがシングルAレベルに落ちれば話は別だが、シングルA転落のシナリオは可能性が極めて低く、The Bank Holding Company Actでは米国債とエージェンシー債の保有は制限無しと定めており、同証券のリスクウェイトは格付けに左右されるものではないので、(自己資本の懸念から)強制的に売りに出る銀行は少ない、という意見。


筆者もたとえ格下げになっても、1段階下げのAA+(Aa1)におさまると思う。その場合の銀行へのインパクトはマネージ可能だとも思う。

米国債格下げのトレーディングフロントへの影響

DEBT CEILING: Some Quick Thoughts From Goldman's Head Of US Treasury Trading
(Business Insider, 7/27/11)

ゴールドマンの米国債トレードヘッド Beth Hammockのメモから。具体的なbpsの数値はともかくとして、期待される動きとしては、きわめて全うな内容。

「米国債がAAにおちると、GSEは即時の格下げ圧力、米国債には徐々に海外の持分減少でドル安方向に引導、米企業および米銀への格付けネガティブ影響。格下げ直後は、短期エンドにリスクオフのトレードで30bpsラリー、5年をピボタルポイントにして、長期エンドは20-30bpsのセルオフ。エージェンシー債はワイドニング圧力、だが買いは入ると見込まれ。最終的には、米国債のイールド全体が25-50bpsの持ち上げ、長期アンダーパフォーム。エージェンシー債およびMBSは5-20bpsワイドニング。」

(先日、MHJ本館のほうに、BACのCFOが米国債格下げに「備えて」いるという話を書きましたが、BACの描くシナリオもこれと似たようなシナリオでトレード損益と自己資本のシミュレーションやってるのでは、と想像します。)

米国債のCDSカーブが初めて長短逆転

Live Blog: The U.S. Debt Battle
(WSJ, 7/27/11)

ちまたでは上限問題で米国債がデフォルトすると上へ下への大騒ぎだが、肝心の米国債市場はずっと静観の態度。ただし、さすがにここに来て、8月4日償還予定の米国債が7月28日より4bp動いて若干安め。米国債CDSの方は、1年CDSが5年CDSより20bps高くなっていて、初めてインバートしている。流動性の低い市場だが、リスクを「少しばかり」織り込んでいる、とメリルリンチ。("small probability”という表現に注意。欧州のようにパニックしているわけではない。)

4:43am BofA-ML: Default Risk Starting to be Priced in